ツギトリ

実際的な出版流通に即しつつも突飛で無責任なご提案。

一冊両断「現地裁断返品(スキャン&シュレッド)」

要約

どうせ裁断するような返品は、書店で裁断しようぜ。

雑誌の耳塚

書店流通する本は、飽くまで返品条件付きのものに限りますが、返品ができます。

多数ある出版社から発行された本は、取次に集約・仕分されて、多数ある書店へ旅立って行くのですが、残念ながら返品することになった商品は再び、多数ある書店から、取次に集約・仕分されて、多数ある出版社へて返品されます。その拡散と収縮のサイクルは、まるで宇宙の生と死そのもの。いづれにせよ、膨大なエネルギーが費やされています。

特に返品は、売れない上に返品のためのコストがかかるので本当に悩ましい存在です。何で返品なんか認めるんでしょうね? まあ、ともかく返品すれば、再び出版社にてお色直しし、別の注文に割り当てられて、そこで売れる可能性もあります。

しかしながらそれは書籍の話。雑誌の販売期間は原則、次の号が出るまで。ということで、雑誌の多くは、返品、品を返すとは建前、取次の元で裁断され、古紙となる、そうです。

ただ、飽くまで返品、ということで、部数を証明するために、表紙だけ千切って出版社に送っている(た)とか。これを表紙返品と言いますが、今でも行われているか知りません。さながら、戦国時代、戦功を証明するために敵兵の鼻や耳を削ぎ取って持ち帰った如くですね。首だと、かさばりますから。

S&S

しかし、裁断するなら、取次ではなく書店でそれぞれ裁断してはどうでしょうか。書店は返品した分、商品代は満額返金されるのですが、送品コストはかかります。それより、地域の古紙回収に出せば、トイレットペーパーと交換できる。ばかりか、まとまった量が日々出るので、うまく契約すればお金になるかもしれません。まさに三方よし、ウィンウィンの関係で少年合唱団。

でも、書店各自で裁断処分だと、どうやって返品を証明するのか。裁断しといたでー、つって、売られたらかないません。また、古紙屋が回収後、中古雑誌で横流しされても大変です。裁断処分は必要ですね。

ということで、必殺、スキャン&シュレッド。S&Sです。取次各社が共同で開発した(という設定の)、スキャナーとシュレッダーが一緒になったマシン。雑誌の綴じるとこ辺りにQRコード的な何かを仕込ませておいて、これを読み取って即裁断するもの。これを使えば、返品部数を証明しつつ、裁断されて再利用される心配も無し。

そんなマシン買ったり開発したりするのお金かかるんじゃないの? まあ、いや、でもこれで、書店と取次の返品コストが雑誌分だけでも浮けばしめたもの。儲かるのはまたシステム会社でありますが。

応用編

このスキャン&シュレッド、返品だけじゃなく、他でもあったら便利ではないでしょうか。書類を電子化する会社など。個人的にはファックスにつけて欲しいです。送信控を処分するのが面倒なので。送信完了の確認がとれたらそのまま廃棄して欲しい。

雑誌の裁断は綴じられているのでそこが課題ではありますが。じゃりじゃり切るタイプじゃなく、ドリル状のもので「穴をあける」みたいなのが良いかもしれません。

附記

  • かつてマドラ出版の月刊誌「広告批評」(2009年休刊)が、書店による表紙返品・現地処分だったと記憶しています。
  • 察するに、現取次返品現場には、お抱えの古紙回収業(中略)ので、そういう意味で実現が難しいところです。