ツギトリ

実際的な出版流通に即しつつも突飛で無責任なご提案。

雑誌のような雑誌/書籍のような雑誌/新聞のような雑誌

雑誌に関する戯言です。流通的な意味でなく、内容的な意味での雑誌について。

雑誌のような雑誌

いきなりトートロジーですが、現在、特に雑誌が売れなくなってきていると。ふうむ。ではかつて、雑誌は売れていたわけですね。なるほど。その古き良き時代? では、雑誌らしい雑誌が売れていた、と。読者は定期購読し、また編集者は固定客がいる故に安心して独特の世界を築ける、雑誌らしい雑誌というのが。

書籍のような雑誌

調べてたわけではなく印象論ですが、現在、ともあれ特定雑誌を定期購読するお客さんは減ったと思います。でも、面白い特集があれば買ったりする。一時は付録目当て、なんてのも流行りました。週刊誌がスクープ記事を出せば買ったり。

最近は雑誌が重版という現象もありますね。景気の良い話ですが、売り方的には決して効率が良いわけじゃありません(初版完売はめでたいでしょうが重版配本の適切さ如何でやっぱり買えない人や結局余ったりする書店や)。

ともあれ、定期刊行物ではあるけれど、定期的に買うのではなく、その号単体が面白そうなら買う。雑誌だけど書籍・単行本のような感じです。勿論、それもまた昔からある買い方ですし、毎号面白くすれば良いわけなんですが。ただ編集側は、流動客を意識する必要があるので、ディープな世界を構築しにくい。作り方も書籍のようになる。

また、流通上問題も。雑誌は、前号の実績を鑑みて配本されますから、特集が爆発した翌(々)月は配本が多くなって返品多、そして配本が少なくなって時に限って特集が爆発しては売り逃し……なんてことも。勿論、その辺も考慮されて配本はされているのでしょうが、著名雑誌の肝いりタイトルはともかく、ちょっとウケた程度の反映は難しいと思います。

新聞のような雑誌

こういう、雑誌の持つ「定期」的側面と「特集」的側面を考えていた時、ふと「新聞」について思い至りました。

新聞のような雑誌って思いつかない。いや、勿論、新聞の最大の特徴は「日刊」でありますから、そこは真似できません。でも、対象読者……すみからすみまで読むわけではないが、家族みんながそれぞれ読めるところがあるような。時事から実用、政治から科学、国際から地域、テレビ欄に4コマ漫画。新聞も今や部数危機かと思いますが、あれが雑誌だとしたら、他誌とは比べ物にならない定期数です。

というのは、昔、雑誌って、定期購読していた以前に、家族で読んでいた、と思い至りました。個人的には親子でPC雑誌、兄弟で漫画雑誌、といった具合に。家族で読むから、一人当たりのコストで考えたら安いし、安心して定期購読できる。書店申込じゃなくても、お父さんが仕事帰りに土産代わりに買って帰るような感じでも。

雑誌の「雑」とは内容だけでなく、ホントは読者層も「雑」多様である方がいいかもしれません。しかし、むしろ制作側は「読者層を明確にせよ」と言われていることでしょう。もし編集者が新雑誌創刊の企画書で「対象読者層:みんな」って書いたら怒られるんじゃないでしょうか。

よっしゃー、部数安定が雑誌の勘所、かつての雑誌らしい雑誌をも越えた、新聞のような雑誌を作りましょう。それはどんな? 或は、もう既にある?

という訳で以下次号。